全身性エリテマトーデス(SLE*)について
*SLE:Systemic Lupus Erythematosus
SLEは全身のさまざまな臓器に炎症や障害を起こす自己免疫疾患1)の1つです。
自己免疫疾患
私たちの体には、異物や細菌などの外敵から身を守る「免疫」というシステムが備わっています。
しかし、免疫に異常が起こると、自分の体の組織を異物と認識して攻撃するようになってしまいます。
このような免疫の異常が原因で起こる病気を「自己免疫疾患」といいます。
原因1)
- 原因はまだよくわからないことも多いのですが、遺伝的な要因と、紫外線や性ホルモンなどの環境要因が関係しています。
症状1,2)
- 全身にさまざまな症状や臓器の障害が起こります。しかし、個人差が大きく、症状があらわれる部位や強さ、あらわれる時期は人によって異なります。
主な自覚症状
- 1神経
- けいれん、頭痛、不安感、抑うつ、認知障害、筋力の低下、まひなど
- 2皮膚
- (全身)光線過敏症/
(粘膜)口腔内・鼻咽頭粘膜潰瘍/
(顔)蝶形紅斑・円板状紅斑など/(手足指)蕁麻疹のような皮疹・紫斑・レイノー現象など/(頭部)脱毛 - 3心臓・肺
- 胸の痛み、動悸、息切れ(呼吸困難)など
- 4腎臓
- 顔や足のむくみ
- 5全身
- 発熱、全身がだるい、疲れやすい、体重の減少など
- 6血液
- めまい(貧血)、出血など
- 7関節・筋肉
- 関節痛、筋肉痛、こわばり
- 1神経
- けいれん、頭痛、不安感、抑うつ、認知障害、筋力の低下、まひなど
- 2皮膚
- (全身)光線過敏症/
(粘膜)口腔内・鼻咽頭粘膜潰瘍/
(顔)蝶形紅斑・円板状紅斑など/(手足指)蕁麻疹のような皮疹・紫斑・レイノー現象など/(頭部)脱毛 - 3心臓・肺
- 胸の痛み、動悸、息切れ(呼吸困難)など
- 4腎臓
- 顔や足のむくみ
- 5全身
- 発熱、全身がだるい、疲れやすい、体重の減少など
- 6血液
- めまい(貧血)、出血など
- 7関節・筋肉
- 関節痛、筋肉痛、こわばり
状態の変化3,4)
- SLEは多くの場合、病気の勢いが強い(疾患活動性が高い)ときと、弱い(疾患活動性が低い)ときを繰り返します。
- 病気の勢いがおさえられると、症状が安定し、臓器の障害にも進行がみられない「寛解」と呼ばれる状態になります。しかし、一度寛解になっても、再び病気の勢いが強くなってしまうことがあります。
- 渥美達也:最新医学 別冊リウマチ・膠原病; 2018: 119-128
- 橋本博史:全身性エリテマトーデス臨床マニュアル第3版, 日本医事新報社, 2017, p.92-95
- 麻生邦之, 渥美達也:医学と薬学 2019; 76: 1403-1410
- 橋本博史:全身性エリテマトーデス臨床マニュアル第3版, 日本医事新報社, 2017, p.161
SLE治療の目標
現在のSLE治療では、「目標を定め、それを目指して治療を進める」という考え方が大切にされています1)。
治療の目標1)
- 寛解を目標に、まずは病気の勢いが低くコントロールされている状態(低疾患活動性)を目指します。
治療を続けていても、寛解になるには時間がかかったり、あるいは寛解になるのが難しいことがあります。しかし、低疾患活動性になり、それを維持することは、臓器障害の進行などをおさえることにつながります2)。
- 健康な人と変わらない生活が送れるように、生活の質(QOL)の維持・向上を目指します。
SLEは20~30代の活動的な時期に発症することが多いので3)、学業や仕事が支障なくできるようになること、また、家庭生活においても妊娠、出産、育児ができるようになることが目標です。
このように、健康な人と変わらない社会活動を行える状態を「社会的寛解4)」といいます。
- van Vollenhoven RF et al.: Ann Rheum Dis. 2014;73: 958-967
- Golder V et al.: Lancet Rheumatol. 2019; 1: e95-102
- 橋本博史:全身性エリテマトーデス臨床マニュアル第3版, 日本医事新報社, 2017, p.11
- 厚生労働科学研究費補助金難治性疾患等政策研究事業 自己免疫疾患に関する調査研究(自己免疫班), 日本リウマチ学会 編:全身性エリテマトーデス診療ガイドライン2019, 南山堂, 2019, p.xi
SLE治療の薬物療法
SLEの薬物療法では、病変のあらわれた臓器や病気の勢い(疾患活動性)の強さに応じて、いろいろな薬剤が使われます。
主な治療薬とその役割1)
ステロイド薬(グルココルチコイド)
- 免疫反応の異常や臓器に起きた炎症をおさえる作用があり、SLE治療のベースとなる薬剤です。
- 基本は内服ですが、症状が重いときや急激に悪化したときは点滴することもあります。また、皮膚症状に対しては塗り薬が使われます。
- 疾患活動性をおさえるために必要最小限の量にすることが望ましいとされています2)。
免疫調整薬
- 元々は海外でマラリアの治療薬として開発された薬剤ですが、免疫を調整する働きがあるため、SLE治療にも使われるようになりました。
免疫抑制薬
- 免疫反応の異常をおさえる薬剤です。
- ステロイド薬の効果が不十分なときや使用できないとき、減量を図るときなどに使われます。
生物学的製剤
- 体内に存在し、病気の原因となっている特定のタンパク質をターゲットに作られた薬剤で、そのタンパク質の働きをおさえることにより効果を発揮します。
- 橋本博史:全身性エリテマトーデス臨床マニュアル第3版, 日本医事新報社, 2017, p.168-193
- van Vollenhoven RF et al.: Ann Rheum Dis. 2014;73: 958-967